イギリスで徒然草(旧・ランカスター日記)

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Brexit イギリスEU離脱に思う(1)

学会兼ホリデーで国外に出ていた23日に、国民投票でイギリスがEU離脱を決定した。

23日深夜には残留派が優勢らしい、と聞いていたので、まあそうだよね、と思って寝たら
24日の朝、携帯でニュースを見ていた夫が(彼にしては珍しく)Sワードをつぶやいたので、
「えっまさか離脱?」と聞いたら本当にそうだった。

EU離脱派の意見はエビデンスやソースがだいぶ曖昧だと感じたことと、
離脱後のことが何一つクリアでないのに比べて、残留のメリットはそれなりにあるので
なんだかんだ言っても残留になるだろう、と思っていたので本当に驚いた。

夫は自国がEUから離脱すると決定したことがにわかには信じられず、ものすごくショックを受けている。
数日経った今でも、大好きなサッカーの試合観戦よりもBrexit関連のニュースに釘づけである。
自国がEU離脱を選択し、移民排斥の方向に突き進んでいることに深く失望しているようだ。
妻が外国人で、かつ娘も半分外国の血が入っている(そして外見で明らかに混血とわかる)わけだから、
彼の憂いは当然かもしれない。

今回の投票結果で、さまざまな記述統計が発表されて実感するのは
「いかに自分たちの属しているグループと、それ以外のグループとの隔たりが大きかったか」
ということである。
イギリスの大学では、実にさまざまな国籍の教員や研究員が働いている。
EU加盟国であるということが労働力の流動性を保証し、優秀な人材に来てもらいやすい環境に
なっていたからだ。大学教員の中ではおそらく残留派が圧倒的多数であっただろう。
また、私たちの住んでいる地域はロンドン通勤圏で、その点からも残留派が多い印象だった。
だから、まさか離脱になるなんて思ってもみなかった。

しかし、ふたを開けてみれば、ロンドンや比較的大きな都市、および大学都市以外では
離脱派が多数であった。しかも、年齢、教育程度、出生地などの統計を見ると
「若者vs上の世代」、「都市在住vs地方在住」、「教育程度高いvsそうでない」、
「イギリス国外生まれvsイギリス生まれ」という分断がかなりはっきり見える。
いずれも前者が残留組で、後者が離脱組だ。
まあ、分布図の散らばり具合から見ると、そこまで高い相関があるわけではなさそうだが
(せいぜい0.5程度かと予想)、
全国規模であることを考えるとかなり強めの傾向ではあるのだろう。
でもその分断されているグループ同士はおそらく普段交流することのない人々で、
だからお互い「もちろん残留だろ」「まさか離脱以外にありえない」という認識だったのではないだろうか。
これはよく考えるととても恐ろしいことだ。

離脱の影響は、すでに為替レートや不動産の値段などに現れつつあるが、
大学という文脈に限っていえばイギリスの大学はEUから多大な補助金や研究資金を受け取っており、
これがなくなる、あるいは著しく減少するとなると
大学経営は厳しくなることが予想される。
これまでは、その補助金があったのでEUからの学生は比較的安い学費でイギリスの大学で学ぶことができたが、
それもなくなるか大幅に減るかするだろうから学生数も減り、ますます経営難に陥るだろう。
どこの大学もstruggleするだろうから、他の大学なら状況がマシ、というのは考えにくいので、
そのうち大学外に転職しなければならなくなるかもしれない。
まあ、嫌な展望だが、見通しが立たない中で憂えても仕方がないので、今は目の前の仕事を頑張るしかない。

ちなみに、イギリス人の外国人配偶者(それもEU外から)という身分で
この国に住んでいる私には投票権はない。
働いて税金を納めていてもまったく関係なく、どんな規模の選挙であれ、投票することはできない。
これはイギリス国籍を取得しない限り、永住権を得たとしても同じである。

しかし、イギリスがEUから離脱するということは、イギリス国籍を持っていても
この先EU他国間を自由に行き来し、就労する権利は失われてしまうということだ。
他の「EU外国からの移民」と同じように、他国で就労したければビザが必要になる。
それなら日本国籍でいるのともはや条件は変わらないし、
イギリス国籍を取得する(=日本国籍を喪失する(日本は二重国籍を認めていないため))
メリットはほとんどない。

真面目に働いて税金を納めて暮らしているのに投票権がないのは腹立たしいが、
いざとなったら帰れる祖国があるということは大事な心の支えだ。
この先イギリスがますます移民排斥の方向に向かうとしたら、もっと嫌なことや腹の立つことがあるだろう。
人間というものに絶望する日が来るかもしれない。
そんな日が来て、ああもう外国に住むのは無理だ・・・となったとき、
日本は一切の証明を必要とせず、両手を広げて「おかえり」と私を受け入れてくれるのだ。
そんな風に無条件で受け入れてくれる国は世界でただ一つしかない。
一生日本国籍を手放すことはないだろう、と改めて強く思った。

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コメントコメント


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何か、今回のヤツ、背景結果含めて実は色々意義深い出来事だったのね。在住経験のない極東庶民にはいまいちピンと来てなかったんだけど、色んなコラムや記事を見て、大変なコトだったんだな、と。

ちなみに、当方は当日ずっとBBCのサイトかじりついてました、会社で(笑)
だって、ウチの商売に色々影響出そうなんだもん。。。

YASU | URL | 2016年06月27日(Mon)14:19 [EDIT]


そうなんだよね、間違いなくイギリス史に残る接戦で大きな変化を迎えることになるね。私も投票権ないからあんまり熱心に追ってなかったけど、いざ離脱となったらいろいろ考えたよ。

鉄、影響出そうなんだ?つい最近、イギリス国内で最後の鉄工場が閉鎖されて話題になっていたけど…

蘭華 | URL | 2016年06月27日(Mon)23:55 [EDIT]


 
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