イギリスで徒然草(旧・ランカスター日記)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

留学総括(2)

(1から続いてます)

もちろん、その収穫は、「博論書けた」ということだけによるものではありません。
博論を書くにあたって、取り巻かれた環境から学んだことも本当にたくさん
あります。

そのなかの大きな一つが、共働きで子どもも育てながら
立派に研究キャリアも追求している女性を間近に何人も見られたことですね。
これは、将来に向けて大きな励ましとなりました。

イギリスは産休や育休制度が充実しているし、
男性も女性も定時(17時)でほぼ必ず帰るし、保育所も充実しているし、
日本とはかなり様子が違います。
また、それに伴って男性の家事スキルや育児意識も
ずいぶん進んでいます。
(むしろイギリス女性は料理ができない人が多いとか・・・
それはそれでまた新たな問題が出てくるようです)

究極的には、自分がキャリアを追求できるかどうかは、
たとえば夫も自分も健康で体力があり、自分のマルチタスキング能力が高く、
夫も協力的で、子どもも元気で、通勤に便利なところに保育所があり・・・・・・などの
いろいろな条件がうまく揃わなければかないません。

それはイギリスでも同じことですが、
実際できている人がたくさんいる、
そして彼女たちは人生を楽しんでいる
」という実例を
たくさん見られたことは、「頑張れば私もできるかも」という希望を
持たせてくれました。

もちろん、男女平等を推進し、弱者への社会福祉を充実させてきた裏では、
そのマイナス面も色濃く影を落としています。
女性の権利を守り、女性が1人でも子育てしていけるように
手厚い保護をしてきた反面、生活保護受給のシングルマザー家庭、
十代で妊娠(そして学校教育を全うしない)女子が増加の一途を辿ります。

これは日本の比のみならず、ヨーロッパ内でも類をみない高い比率だそうです。
福祉が充実しているから、男も責任感が薄れているのかもしれません
(1人で妊娠できるわけじゃないのにまったく腹立たしい!!!)。

特に、十代でシングルマザーとなって生活保護を受給している家庭では、
生活保護でずっと育った子どももそれ以外の生活を知らないので、
またシングルマザーや、生活保護に頼る男となり、ネガティブな連鎖に
陥っていくケースが多いようです。

平日の真昼間から、中学生?せいぜい高校1年でしょ?という感じの女の子が
バギーを押して街を歩いている姿を見ると、悲しくなります。
子どもは可愛いだろうけど、あなたにもまだまだ無限の可能性があるのに、と。
しかもそれが日常の光景なのです。
だからイギリスの社会が手放しで礼賛できるとは全く思っていません。

でも私にとっては、日本で感じていた閉塞感から解放してくれた場所でした。
日本では、「博士課程行くの?うわー結婚できないね」などと、
男性に言われることがありました。
学歴が高くなると男性が寄ってこなくなるからだそうで、
そしてそれはおそらく真実なのでしょう。

その点、イギリスでは結婚しない人も多いし、
上記のとおりシングルマザーも普通だし、
長く独身でいても後ろ指を刺されたりしないし、
30,40,50代になっても大学に勉強しに戻ってくる人もたくさんいますし
「え、その年まで学生って一体なにやってんの?しかも女で?
人生どうすんの?」という空気が全然なかったことは
本当に楽でした。

それから、何よりも、「博士課程にいます」と言っても
まったく気にしないどころか、「情熱をもって研究している君がいい」と支えてくれる
イギリス人男性に出会い、結婚に至ったこと。

研究がうまくいかなくて不安定になって泣いても、
病気しても必ずそばにいてくれる人がいるというのは
本当に心強い支えでした。
いやー、マジで夫、GJ!!(笑)

4年前にイギリスにやって来たときは
国際結婚することになるなんて思いも寄りませんでしたし、
3年前に今の夫と出会ったときも
「自分は日本語を話さない人とは絶対に結婚したいと思えるほど
わかりあえないだろうなぁ」と堅く信じていたというのに・・・
人生は本当にわからないものです

4年前、3年前はおろか、1年前に今自分が日本に帰って
大学の教員になっているとも思ってなかったわけですから、
あまりに長期的プランなんて役に立ちませんね。

なので、蘭華は
先のことはわからない!しなやかにしたたかに生き延びる術はただ1つ、
柔軟でいることのみ!

を身上としたいと思います。

なにか大事な決断や選択を迫られることになったら、
たくさん考えて、話して、自分の直感に素直になって、
ベストだと思うものを選ぶ。
そうすれば、後悔することにはならないと思うし、
しても踏ん切りがつくし、何よりも
後悔しないように、その選択が合っていたと言えるように
その後もベストを尽くすことができると思うのです。

これからも精進します。

ありがとう、イギリス。
支えてくれた多くの人たちに深く感謝申し上げて、
留学の総括としたいと思います。


(まだブログはもう少し書くつもりです)

スポンサーサイト

PageTop

留学総括(1)

ずいぶん間が空いてしまいました。なんとか生きてます。

今は仕事量がとても少ないので、12月にあるランカスターの卒業式に行けることに
なりました。夫とも会えるし、うれしいな!

ということで、つらつらと考えた、留学を通した今の気持ちを書き綴ってみようかなと。

イギリスに来たことで、人生についてよく考えました。
そして価値観が変わり、いろいろなものから自由になりました

「博士論文を書くこと」が至上命題であり、周りもそれを目指す学生だらけで、
究極的にはその一点のみが自分が評価される面であったこと。
ほかに何が出来ても、友達がたくさんいても、おしゃれをしていても、
課外活動で活躍していても、肝心の論文が進んでいなければ
「あの人、一体なにやってんの?」と思われる。

そんな環境だったので、もともと外にバリバリ出る方ではありませんでしたが
真の引きこもりとなり、周りの目を気にしなくなりました。
まず田舎だからおしゃれな人は少ないし、学内では誰も人の服装なんて気にしてません。
もともと化粧も嫌いでしたし、お金もなかったし。

それから、お金がないので、買うものをよく検討するようになりました。
論文を書く上での思考が鍛えられたこともあって、情報の吟味をし、
リサーチをするようになりました。
ニュース記事もそうですし、広告なんかもそうです。
統計のこともずいぶん勉強しましたし、統計解釈の落とし穴にも慎重になりました。
たぶん、この先もナントカ製法で開発されたとか、
よく知られていない成分を持ち出してすごい薬効をうたう新化粧品や食品には
手を出さないと思います。
裏づけとして、納得できる学術記事が出版されていない限りは。

博士3年目に入って、論文の道筋が見えて、研究楽しいなと心から思えるまで、
「こんなんでいいんだろうか」という意識はどこかにずっとあって、
辛いときがありました。
研究者の卵として研究を楽しむ自分と、
なんというか、まだ「俗世」に未練がある自分がいたから。

「俗世」というと言葉が悪いですが、研究以外の世界のことです。
自分がずーーっと学生でいる間、立派に社会人をしている日本の姉弟や
友人たちの近況を聞いたり、たまに日本に帰れば女性はとっても綺麗でおしゃれで
いろいろなことを頑張っていて、いいなあ、とうらやましく思うことがたくさんありました。

でも、博士論文が終わってみて、静かな充足感
自分の中に芽生えているのを実感します。

博士論文で調べられることなんて、広い宇宙の中で
ほんの針先の一目をきざむようなものですが、
それでもその一点においては、自分にしかできない研究をし、
他の誰よりも深く思考した、という事実は揺るぎのないものです。

その意味でこの充足感は絶対であり、決して奪われることのない、
私だけのもの
です。これを得て初めて、
ああ、博士号とってよかった、と本心から言えるようになったと思います。

あとは、我慢強くなりましたし、多様性をより広く受け入れられるようになった
と思います。イギリスが日本に比べてのんびりしていて、
多様性に寛容な国だからです。
「あ~こんなこともありなんだ~」「まあしょうがないかー」と
いろいろなことに関して思えるようになった気がします。

東京に住んでいた頃のように、電車が2分くらい遅れたって
大したことないじゃない、そんなに急いでも結局
目的地に着く時間の差なんて5分もないよ、とか。
ゆるゆるのイギリスによく立腹もしましたが、同時に鍛えられたんですね(笑)

考えてみれば、物心ついてからずっと「競争」「効率」「間違わない」を意識して
緊張して、できない自分をずっと否定して焦って生きてきたような気がしますが、
ゆるいイギリスと、さぼりながらもなんとか博士論文を書き上げられたことで
「もういいや」と思えるようになった。・・・のかな。たぶん。

ちゃんと逃げずに頑張れたから、ようやく自己肯定ができるようになった。
これは私にとっては大収穫です。

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。