イギリスで徒然草(旧・ランカスター日記)

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指導教員として

再開しよう!と思ってまた数か月が経ってしまいました!
そんなに忙しくないはずなのに、なぜか日々がものすごい勢いで過ぎていきます。
日本の大学の仕事も、授業が終わり、成績も出し、入試業務も終わってほっとしています。

また、ランカスターの客員研究員(Visiting Researcher)の仕事も一区切り付きました。
今年度の仕事内容は、ランカスターの通信課程で言語テスト論修士号を取るために
勉強している学生の、いろいろな授業の課題の副査(second marker)と
集中講義担当@香港、そして修士論文指導でした。

授業の最終課題(大体5000語のペーパー)を採点するときに
first markerとsecond markerが二人でつけます。
First markerはその授業の担当者、second markerはその授業内容に
それなりに通じている人が割り当てられます。
大体、ペーパーは毎回20~30人分あり、second markerは必ずしも同じ人である必要はないので
2人いたり、3人で分けたりします。

採点もけっこう大変で、点数だけ出せばいいのではなく、
全体コメントと、詳細コメントを2~3枚の用紙にまとめてフィードバックします。
(ペーパーはWord形式で提出されるので、そのものに「コメント挿入」する人もいます)
なので、さら~っと読んで、「あ、大体このくらいね」というのではなく
かなりきっちり、しっかり読まなくてはなりません。

大変ですが、学生も一生懸命書いたであろう大事な課題ですから、きっちり読みます。
コメントも、「どう書いたらこの人にわかってもらい、次に生かしてもらえるだろうか」
と考えながら、励ましつつ、建設的な批評の文面を考えます。
このあたりは、また別記事で取り上げてみようと思います。

修士論文の指導では、今年は3人の学生を担当しました。
それぞれチェコ、インド、イギリスに居住。私は日本にいるので、
メールとスカイプミーティングを通しての指導です。
みんな言語テスト機関に勤めた経験から、それぞれの問題意識をもってすごく真剣に研究していました。

一人は事情により、締め切りを延ばしたのでまだ指導継続中ですが、
ほかの2人は無事に論文審査も通り、無事修士号取得の予定です。嬉しいものですね。
謝辞のところに、「指導教員の蘭華先生に感謝します」なんて書かれていると
立派な人になった気分…!

今年はほかに、ランカスターが香港で提供している修士プログラムで、集中講義型の
第二言語習得に関する授業もする機会をもらいました。
ランカスターの元指導教員が忙しすぎて、「蘭華なら地理的にも近いし、
都合がついたらやってきてくれないか」との依頼があり。

これもとてもいい経験でした。もちろん、例年使われている授業資料ももらいましたが、
自分が学部・大学院時代にとったノートや新しい文献をひっくり返して勉強し直すいい機会で、
いろいろなことを忘れていたり、説明がうまくできなくて反省したり…
ハードでしたが、学生は現職の英語の先生たちで、みんないい人たちですごくやりやすかったです。

これから、その授業の5000語の課題が提出されてくるので、3月後半はもうひと踏ん張りです。
授業でどれだけのことをうまく伝えられていたか、試される面もあるので、ドキドキしています。

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留学総括(2)

(1から続いてます)

もちろん、その収穫は、「博論書けた」ということだけによるものではありません。
博論を書くにあたって、取り巻かれた環境から学んだことも本当にたくさん
あります。

そのなかの大きな一つが、共働きで子どもも育てながら
立派に研究キャリアも追求している女性を間近に何人も見られたことですね。
これは、将来に向けて大きな励ましとなりました。

イギリスは産休や育休制度が充実しているし、
男性も女性も定時(17時)でほぼ必ず帰るし、保育所も充実しているし、
日本とはかなり様子が違います。
また、それに伴って男性の家事スキルや育児意識も
ずいぶん進んでいます。
(むしろイギリス女性は料理ができない人が多いとか・・・
それはそれでまた新たな問題が出てくるようです)

究極的には、自分がキャリアを追求できるかどうかは、
たとえば夫も自分も健康で体力があり、自分のマルチタスキング能力が高く、
夫も協力的で、子どもも元気で、通勤に便利なところに保育所があり・・・・・・などの
いろいろな条件がうまく揃わなければかないません。

それはイギリスでも同じことですが、
実際できている人がたくさんいる、
そして彼女たちは人生を楽しんでいる
」という実例を
たくさん見られたことは、「頑張れば私もできるかも」という希望を
持たせてくれました。

もちろん、男女平等を推進し、弱者への社会福祉を充実させてきた裏では、
そのマイナス面も色濃く影を落としています。
女性の権利を守り、女性が1人でも子育てしていけるように
手厚い保護をしてきた反面、生活保護受給のシングルマザー家庭、
十代で妊娠(そして学校教育を全うしない)女子が増加の一途を辿ります。

これは日本の比のみならず、ヨーロッパ内でも類をみない高い比率だそうです。
福祉が充実しているから、男も責任感が薄れているのかもしれません
(1人で妊娠できるわけじゃないのにまったく腹立たしい!!!)。

特に、十代でシングルマザーとなって生活保護を受給している家庭では、
生活保護でずっと育った子どももそれ以外の生活を知らないので、
またシングルマザーや、生活保護に頼る男となり、ネガティブな連鎖に
陥っていくケースが多いようです。

平日の真昼間から、中学生?せいぜい高校1年でしょ?という感じの女の子が
バギーを押して街を歩いている姿を見ると、悲しくなります。
子どもは可愛いだろうけど、あなたにもまだまだ無限の可能性があるのに、と。
しかもそれが日常の光景なのです。
だからイギリスの社会が手放しで礼賛できるとは全く思っていません。

でも私にとっては、日本で感じていた閉塞感から解放してくれた場所でした。
日本では、「博士課程行くの?うわー結婚できないね」などと、
男性に言われることがありました。
学歴が高くなると男性が寄ってこなくなるからだそうで、
そしてそれはおそらく真実なのでしょう。

その点、イギリスでは結婚しない人も多いし、
上記のとおりシングルマザーも普通だし、
長く独身でいても後ろ指を刺されたりしないし、
30,40,50代になっても大学に勉強しに戻ってくる人もたくさんいますし
「え、その年まで学生って一体なにやってんの?しかも女で?
人生どうすんの?」という空気が全然なかったことは
本当に楽でした。

それから、何よりも、「博士課程にいます」と言っても
まったく気にしないどころか、「情熱をもって研究している君がいい」と支えてくれる
イギリス人男性に出会い、結婚に至ったこと。

研究がうまくいかなくて不安定になって泣いても、
病気しても必ずそばにいてくれる人がいるというのは
本当に心強い支えでした。
いやー、マジで夫、GJ!!(笑)

4年前にイギリスにやって来たときは
国際結婚することになるなんて思いも寄りませんでしたし、
3年前に今の夫と出会ったときも
「自分は日本語を話さない人とは絶対に結婚したいと思えるほど
わかりあえないだろうなぁ」と堅く信じていたというのに・・・
人生は本当にわからないものです

4年前、3年前はおろか、1年前に今自分が日本に帰って
大学の教員になっているとも思ってなかったわけですから、
あまりに長期的プランなんて役に立ちませんね。

なので、蘭華は
先のことはわからない!しなやかにしたたかに生き延びる術はただ1つ、
柔軟でいることのみ!

を身上としたいと思います。

なにか大事な決断や選択を迫られることになったら、
たくさん考えて、話して、自分の直感に素直になって、
ベストだと思うものを選ぶ。
そうすれば、後悔することにはならないと思うし、
しても踏ん切りがつくし、何よりも
後悔しないように、その選択が合っていたと言えるように
その後もベストを尽くすことができると思うのです。

これからも精進します。

ありがとう、イギリス。
支えてくれた多くの人たちに深く感謝申し上げて、
留学の総括としたいと思います。


(まだブログはもう少し書くつもりです)

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留学総括(1)

ずいぶん間が空いてしまいました。なんとか生きてます。

今は仕事量がとても少ないので、12月にあるランカスターの卒業式に行けることに
なりました。夫とも会えるし、うれしいな!

ということで、つらつらと考えた、留学を通した今の気持ちを書き綴ってみようかなと。

イギリスに来たことで、人生についてよく考えました。
そして価値観が変わり、いろいろなものから自由になりました

「博士論文を書くこと」が至上命題であり、周りもそれを目指す学生だらけで、
究極的にはその一点のみが自分が評価される面であったこと。
ほかに何が出来ても、友達がたくさんいても、おしゃれをしていても、
課外活動で活躍していても、肝心の論文が進んでいなければ
「あの人、一体なにやってんの?」と思われる。

そんな環境だったので、もともと外にバリバリ出る方ではありませんでしたが
真の引きこもりとなり、周りの目を気にしなくなりました。
まず田舎だからおしゃれな人は少ないし、学内では誰も人の服装なんて気にしてません。
もともと化粧も嫌いでしたし、お金もなかったし。

それから、お金がないので、買うものをよく検討するようになりました。
論文を書く上での思考が鍛えられたこともあって、情報の吟味をし、
リサーチをするようになりました。
ニュース記事もそうですし、広告なんかもそうです。
統計のこともずいぶん勉強しましたし、統計解釈の落とし穴にも慎重になりました。
たぶん、この先もナントカ製法で開発されたとか、
よく知られていない成分を持ち出してすごい薬効をうたう新化粧品や食品には
手を出さないと思います。
裏づけとして、納得できる学術記事が出版されていない限りは。

博士3年目に入って、論文の道筋が見えて、研究楽しいなと心から思えるまで、
「こんなんでいいんだろうか」という意識はどこかにずっとあって、
辛いときがありました。
研究者の卵として研究を楽しむ自分と、
なんというか、まだ「俗世」に未練がある自分がいたから。

「俗世」というと言葉が悪いですが、研究以外の世界のことです。
自分がずーーっと学生でいる間、立派に社会人をしている日本の姉弟や
友人たちの近況を聞いたり、たまに日本に帰れば女性はとっても綺麗でおしゃれで
いろいろなことを頑張っていて、いいなあ、とうらやましく思うことがたくさんありました。

でも、博士論文が終わってみて、静かな充足感
自分の中に芽生えているのを実感します。

博士論文で調べられることなんて、広い宇宙の中で
ほんの針先の一目をきざむようなものですが、
それでもその一点においては、自分にしかできない研究をし、
他の誰よりも深く思考した、という事実は揺るぎのないものです。

その意味でこの充足感は絶対であり、決して奪われることのない、
私だけのもの
です。これを得て初めて、
ああ、博士号とってよかった、と本心から言えるようになったと思います。

あとは、我慢強くなりましたし、多様性をより広く受け入れられるようになった
と思います。イギリスが日本に比べてのんびりしていて、
多様性に寛容な国だからです。
「あ~こんなこともありなんだ~」「まあしょうがないかー」と
いろいろなことに関して思えるようになった気がします。

東京に住んでいた頃のように、電車が2分くらい遅れたって
大したことないじゃない、そんなに急いでも結局
目的地に着く時間の差なんて5分もないよ、とか。
ゆるゆるのイギリスによく立腹もしましたが、同時に鍛えられたんですね(笑)

考えてみれば、物心ついてからずっと「競争」「効率」「間違わない」を意識して
緊張して、できない自分をずっと否定して焦って生きてきたような気がしますが、
ゆるいイギリスと、さぼりながらもなんとか博士論文を書き上げられたことで
「もういいや」と思えるようになった。・・・のかな。たぶん。

ちゃんと逃げずに頑張れたから、ようやく自己肯定ができるようになった。
これは私にとっては大収穫です。

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近況

もう8月も終わりですね。
前回の結婚報告から蘭華が一体なにをやっていたかと言うと、
引っ越ししてました。

この8月から日本の大学で雇っていただくことになり、
結婚してから10日後、日本へ帰って荷造りを三日で行い、
赴任地へ飛びました。
論文は7月に最終版を提出して認められ、無事に博士の学位を
得ることができましたが、感慨にひたる間もなく
怒涛の日々が始まりました。

夫はまだしばらくイギリスで仕事をするので、
一人で海外引っ越しと国内引っ越しの連続は
本 当 に しんどかったです…(TДT)

イギリスでは寮でも家でも、少なくとも最低限の家具は付いている物件にしか
住んだことがなかったので、一からテーブルや椅子、ガステーブルや
収納家具、照明器具を買ってなんとかするのはすごく大変でした。
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジはレンタルです。
なんで日本には家具付き物件が(ほとんど)ないの!?とキレまくりながら
作業してました。

当然、PhDの3年を過ぎたらすべて自腹なので
(学費は「書き上げ段階」ということで格安になりましたが)、
助手などをしつつも貯金を少しずつ食いつぶしながらの
生活だったため、日本に帰る頃には引っ越し代で吹っ飛ぶくらいの
残高しかありませんでしたし…。

そんなわけで(?)、新居にはまだカーテンもありません!!
(洋服で代用中)
あと、居間に置くちゃぶ台もありません。(段ボールで代用中)
たまに面倒だけど、なければないでなんとかなるもんですね。

今住んでいるところは勤務先の寮みたいなものでとっても古いので、
お風呂の給湯器なんて面白いことになっていますが
だんだん慣れてきました。
無事に、「住めば都」になりつつあります。

今後、目下の課題は、日本の食材のバリエにうかれて
ランカスター在住時の二倍近くに膨れ上がった食費の管理
(食べる量が増えたわけではないのに…正直なぜかわかってない)と
車を今買うか・来春買うかの決断、冬の暖房器具の検討です。
(暖房器具は、北なのでもうお盆をすぎたら秋の気配なので
もう検討しないといけない感じなのです。東京となんという違い…)


この「ランカスター日記」、ランカスター在住ではなくなったので
どうしようかなと考えているのですが、
しばらくはまだイギリス生活について思い出したように書いていきたいと
思うので、まだ終わらせずにおきます。
また時々のぞいてやってくださいね。

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口頭試問合格

ついにこの日が!
イギリスに来てから夢見ていた日が!訪れました!!


論文を提出してから待つこと一ヶ月、口頭試問が滞りなく行われ
無事に合格して「マイナー修正を条件に、博士の学位を授与」されることが決定しました。

内部審査員の先生も、外部審査員の先生も、すごくポジティブで建設的な指摘を
してくださって、ものすごくいい経験になりました。
「口頭試問は試験というより建設的議論の場」というのは本当でした。

模擬口頭試問も済ませていたし、指摘された点の大部分は
自分でも考えたことだったので、緊張はしましたが
かなり自然体で臨めました。

指導教員は、口頭試問中はメモ取りとレコーダー係に徹し、議論には参加しないのですが
私が審査員の先生方に逆に質問したり、質問やアドバイスの意図を徹底的に
聞きなおしたりするのに「なんという勇気・・・」とビックリしていたそうです。
でもどうやらこの「食らいつく」姿勢は外部審査員の先生には好評だったようです。
あとでメールなんかで聞きなおすよりずっとpracticalですよね。

イギリスでは、「修正なし」で博士号が授与されることはものすごく例外的で、
ほとんどの学生がなんらかの修正を要求され、その箇所が直ったことが確認されてから
正式に学位授与、ということになります。

修正には「マイナー修正」と「メジャー修正」があり、
マイナーだと根幹的な部分には問題がなく、たとえば考察のつっこみが足りないとか
先行研究の(ちょっとの)不足等が該当します。

メジャーになるとちょっと深刻で、こちらは方法論が適切でなかったり、
それに付随して先行研究レビューの大幅な不備など
もっと大幅な書き直し、あるいは分析しなおしが要求されるレベルです。

基本的には、指導教員にしっかり定期的に見てもらい
(指導が適切であるという前提ですが)、
試験官と異なる見方を持っていても
関連するissuesに対するawarenessを持てていれば
大抵はマイナー修正で落ち着くので、
これが博士課程の学生が目指すレベルといえます。

私が指摘されたのは以下の7点。


1.先行研究レビューに重要な関連文献が2点抜けているので追加せよ
2.先行研究レビューの中に「なので本研究ではこの変数/手法を採用します」とか書くのヤメレ(方法論で書け)
3.今後の展望について、(1パラグラフでいいので)最終章に明確に書け
4.本研究で使用したアンケートの限界についてもっと綿密に書け
5.ユニット分節のコーディングの信頼性係数をレポートせよ
6.ディスカッションで、あるキー文献をより正確に読み込んで議論すべき箇所あり
7.本文内の引用のスタイルミス、タイプミスをなんとかしなさい


もちろん、もっと細かい点は数限りなく指摘され、詰まったり議論したりが
一時間半続いたわけですが、「最低限の修正」として上がってきたのは
この7点だけでした。

正直なところ、もっと無理難題というか、考えたこともないような、
私の頭ではついていけないレベルの質問がドンドン出るんじゃないかとか
もっと方法論的につっこまれまくるかと
予想していたので、拍子抜けしたかも?というのが率直な感想でした。

嬉しかったのは、

分析の幅は類を見ない。非常によく書けている。とても楽しんで読めた」と
2人から言っていただけたことです。
いわば、論文の根幹的なところに太鼓判をもらえた感じで
すごく安心しました。

ちなみに外部審査員の先生にとっては、2.が
私の論文を読んで抱いたbiggest problemだった
そうです。本当に!?

その他、丁寧に読んでもらってフィードバックや突っ込みや議論した部分は
「論文のため」というより、「publishするときのための注意点」なのだそうです。
「できるだけ早くpublication用の論文を書きなさい」とも言われたので
すかさず、「草稿が出来たら見ていただけますか」と尋ね、確約をいただきました~
よかったー!

ランカスターでは、マイナー修正には原則として3ヶ月が与えられます。
が、「そんなにかからないでしょ、最低限な修正なら一ヶ月もかからないし、
細かい点もすべて直すとしても二ヶ月だよね?」という感じなので
夏前にはすべてを終わらせたいと思います。

とりあえず今夜は、指導教員のおごりで好きなだけ飲み食いしました♪
明日はなんと、ロンドンにバレエを鑑賞しに行きます!楽しみ!!

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